近年、企業の新規事業開発の取り組みは年々拡大し、多くの企業が新規事業部署を設置、オープンイノベーション、スタートアップへの投資といった様々な手法に挑戦してきました。
しかし、いくら手法を工夫しても一社単独での事業開発には課題も多く、多くの企業でこれらの取り組みが一巡した現在は、パートナーとの共同事業を志向する企業が増加しています。

博報堂でも数多くのクライアント企業の事業開発支援を行ってきましたが、ありがたいことに博報堂の生活者発想や未来洞察力、実行力などへの期待から、「事業パートナーとして協働できないか」というご相談を多数いただくようになりました。

これまでの広告ビジネスモデルの中で、われわれ広告会社の仕事はマーケティングやブランディングがメインでした。
旧来の生活者と企業の接点といえば、新聞、雑誌、テレビ、ラジオの4媒体が主流で、その接点を最大化し、企業と生活者をつなげていくことが広告会社の存在意義だったといえるでしょう。

しかし、インターネットの登場と、IoT、5G、AIなどの発達により、この接点の形は激変し、多様化しています。
企業と生活者がSNSやアプリケーションなどをはじめとしたさまざまな形、あらゆる接点でつながる世の中で、この接点を拡大していくことが、未来を洞察してきた博報堂の今後の新たな事業活動のフィールドとなっていきます。
そのために、これまでの広告を通したマーケティング、ブランディングをおこなうパートナーとしてだけではなく、クライアント企業ともに事業創造をしていく、事業パートナーになっていく必要があると考えました。

このような背景から、ミライの事業室が中心となり、クライアント企業のアセットと博報堂のリソースの掛け算による新規事業共創を、博報堂の新たなビジネスとして本格的に推進する体制を構築し、新規事業共創プログラム「Hakuhodo JV Studio」を設置しました。博報堂が持つ生活者視点での成長戦略立案ノウハウを活用し、クライアント企業とともに近未来のビジネスチャンスを探索します。
事業計画を進める際は、クライアント企業と博報堂とで、人的・金銭的・時間的リスクを共にテイクする事業体(JV)を設立し、新収益の獲得を目指します。
また、各事業計画は、新規事業立ち上げの経験やスキルを持った人材が推進します。

「Hakuhodo JV Studio」の主な特徴・構想

  • 「探索」「深化」「孵化」の3フェーズに事業構想ステージを区分し、構想段階から実装段階までワンストップで事業創造を推進。「探索」から「孵化」までは1年程度が目安。テーマによっては「深化」や「孵化」のフェーズからスタートすることも可能。
  • 各社が出資し合うJVによる事業化を前提。事業化に際し多様な収益化スキームを博報堂が提案。
  • 事業テーマは両社の既存事業の延長ではなく、新規事業。かつ、「生活者インターフェース市場」において新たな価値を創造するものを想定。
  • 3年で30社程度のJV設立を目安に推進する。

「ミライの事業室」では、今回の取り組みを通じて、自社のフィロソフィーである「パートナー主義」を進化させ、クライアント企業のマーケティングパートナーとしての役割に加え、中長期的な事業共創パートナーとしての新たな存在感と価値を発揮していきたいと考えています。

本ブログでは、今後もわれわれがビジネスを実践していく中で得たJVのティップスなどを共有していきます。