これはミライの事業室フェローの守屋実氏がよくおっしゃっていることですが、大企業向けの新規事業でも中小企業向けの新規事業でも個人でベンチャーを始める場合も同様に、なにか事業を始める際には少なくとも「起業のプロ」と「業界のプロ」という2種類の知識を持つ人材が必要です。これは雇うという意味ではなく、関わってもらうべき人材という意味です。
①起業のプロ
起業家脳を持ちシリアルアントレプレナー的な素質があり、起業を進めていく中での地雷が分かるような人を指します。
起業のプロについては『新規事業を成功させる起業家脳の作り方➈無のセオリーと有のセオリー』(リンク)という記事で詳しくお伝えしてきましたのでこちらの記事を御覧ください。
②業界のプロ
読んで字のごとくですが、その業界に精通した人を指します。今回はこの業界のプロの必要性について解説いたします。
業界のプロの必要性に関して、分かりやすい事例をご紹介します。
たとえば、起業のプロのみのメンバーで医療系ビジネスを始め、すぐにPoC、PoBを回したとしましょう。実際に病院に行って看護師にヒアリングしたところ好感触だったため、「これは売れる」とすぐにプロダクトを作りました。
ところが、いざ発注をとる段階になったとき、「購入を意思決定するのは看護師ではなかったため売れなかった」ということが往々にして起き得ます。
これはそもそもPoBのやり方が甘かったという問題もありますが、「誰が意思決定権を持っているのか」を病院業界に精通する人間にひと言聞いておけば防げたことです。しかし、こういったミスは意外とよく陥りがちです。
「スピード重視でとにかく行動する」という点は起業家然としていてよいのですが、業界知識ゼロでPoC、PoBを繰り返しても学習スピードは遠回りになってしまいます。だからこそ、業界のプロに話を聞くことが求められるのです。
その際におすすめなのが、スポットコンサルティングサービスの活用です。
いわゆる業界のプロにビジネスアイデアの壁打ちをしてもらったり、業界にいた人でなければ分からないディープな情報を知ることができるのが、スポットコンサルティングサービスのメリットです。
たとえば、ある業界は一見寡占市場で、上位数社がメガディーラーです。そのため、業界を知らない人間はこの上位数社を攻めるべきと思いがちですが、実はその数社は既得権益の中で動かないという性質があり、本当に攻めるべきはイノベーティブな中堅ディーラーだったという事例があります。
このように、業界内では当然の話であっても、業界外の人にはまず分からないことがあり、普通にPoC、PoBを進めてもなかなか辿り着けず、辿りつけたとしても運次第ということになってしまうのです。
一方で、通常のエキスパートヒアリングやスポットコンサルティングサービスのデメリットとして、1人、2人に話を聞いても意見に偏りがある可能性があるので、できれば5、6人には話を聞くとよいでしょう。これにより、自社の事業仮説でつまずきそうな箇所を早期に指摘してもらえることは大きなメリットになります。
ぜひスポットコンサルタントを活用してみてください。